28日目

2年半ほど前のこと,卒研時代の指導教員に「きみ,文章書けるんだね!」と言われた話.

 

某所で書き物の仕事を始めたころでそれを指してのことなのだけど,当時は「今まではチンパンジーか何かと思っていたのか?」と困惑したけど,最近意図するところがわかった:山のように書き物の仕事が降ってくる.言い換えると,「人に読ませられる程度の文章を書けるというのは実はレアスキル」ということになる.

 

念のため断っておくとこれは論文執筆とは違う能力で,さまざまな読者層を想定して書き回せることを「文章が書ける」と総称している(のだと思う).実際わりとめんどくさくて,たとえば学部1,2年生,卒研生,修論生,博士課程以上,で分けたら全然違う書き回しになる.ある特定分野の専門書を書くにしても,複合体を使っている場合は組み合わせるモノは非常に奇特なことがあるので,それを易しく書く必要がある(もちろんくどくないレベルで).

 

こう考えるとぼくたちは割と心当たりがあるはずなのだ.教科書・専門書を読んだときにやたらと読みやすい/読みにくいものに遭遇したことがあるはず.これは,単純にぼくたち読者には過ぎたレベルの本を選んだ可能性ももちろんあるけれども,そうじゃない場合(だいたいは読むうちに読者が気づくものだが)書き手が文章を書けていない可能性が高い.

 

とはいえ,書けないのをチンパンジーのように呼ぶのも失礼な気がする.チンパンジーは割と賢いから.